株式会社と合同会社の違い
株式日本で設立される会社はその組織形態の在り方から、「株式会社」と「持分会社」の二つに大別されます。また、持分会社はさらに3つの種類に区別され、その1つを「合同会社」(日本版LLC)といいます。
ここでは、株式会社と合同会社それぞれの基本事項を紹介し、その違いについて解説していきます。
■基本事項について
・株式会社とは
株式会社とは、株式を発行して得た資本をもとに事業活動を行う会社形態をいいます。株式会社では所有と経営が分離しており、株式を購入した人(株主、出資者)が株主総会で選任した人物に経営を委任します。また、株主(会社法上の「社員」)は間接有限責任を負います(会社法104条)。
・合同会社とは
合同会社とは、出資者の全員から構成される会社形態を言います。合同会社では出資者たる社員と経営者が一致しており、社員全員が間接有限責任を負います(会社法578条、580条2項)。
■所有と経営
株式会社では、原則として所有と経営は分離しています(会社法326条1項、331条2項、402条5項)。例外的に出資者が業務の執行を行う場合には、株主総会で取締役に選任される必要があります。
一方、合同会社では、所有と経営が一致しています(会社法590条)。したがって、会社所有者である社員全員が当然に業務執行に携わります。
また、株式会社では株式の公開は任意となっていますが、合同会社にはそもそも株式がありません。
■最高意思決定機関
株式会社の場合、株主から構成される株主総会が最高意思決定機関となっています(会社法295条2項)。もっとも、業務執行に係る決定ついては、株主総会で選任された取締役からなる取締役会で行われます(会社法362条2項1号)。
他方、合同会社の場合は、原則として総社員の過半数をもって業務の決定がなされます(会社法590条2項)。
■代表者と役員
会社には、代表者と役員がいます。
株式会社の代表は通常、「代表取締役」がなります(会社法363条1項1号、349条1項)。他方、合同会社の場合は、原則として代表機関がありません。ただし、定款又は社員の互選で代表者(代表社員)を定めることができます(会社法599条1項但し書き、3項)。
役員については、株式会社・合同会社とも最低1名(合同会社は社員が1名、株式会社は取締役が1名)が必要です。
なお、株式会社の場合には、取締役や監査役の任期に制限があります。もっとも、公開会社でない株式会社の場合には、取締役は原則2年の、監査役は原則4年の任期を最長で10年に延長する旨を定款で定めることができます(会社法332条2項、336条2項)。
■経営方針の決定
株式会社の場合、最高意思決定機関たる株主総会で経営の方針を決定します。他方で、合同会社では経営の決定を定款によって行います。定款は出資者全員の同意で決定されます。
■設立手続きの違い
・設立登記申請
会社の設立には法務局で設立の登記を行う必要があります(会社法49条)。登記の申請には登録免許税がかかりますが、株式会社では15万円、合同会社では6万円が必要になります。
・定款の認証
株式会社は定款の認証をしなければなりませんが、合同会社の場合は定款認証が必要ありません。なお、定款認証手数料は5万円、収入印紙代は4万円、謄本手数料が一頁につき250円の費用がかかります。
以上が株式会社と合同会社の基本的な枠組みの違いになります。会社設立にあたっては、業種や事業規模など自身のビジネスモデルに適した選択をすると良いでしょう。
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