再転相続とは
■再転相続とは
相続とは、人が亡くなった際に起こるものであり、故人の遺産について相続人が引き継ぐことを意味します。
しかし、人が亡くなるタイミングは予測できないもので、相続はいつ起こるか分かりません。また、相続が短い期間に複数起こることもありえます。
そのような特殊な相続が起こった場合にも、焦ることなく相続手続きを進められるよう、基本的な知識について確認しておくことが必要です。
特殊な相続の例として、再転相続が挙げられます。再転相続とは、一度相続が起こったものの、相続人が故人の遺産を引き継ぐか、それとも引き継がずに相続放棄をするのかを決定しないまま亡くなってしまい、さらに次の相続が発生することをいいます。
ここでは、再転相続についてその具体的な内容や、相続の際に注意すべき点等について確認していきます。
●再転相続の具体例、同時死亡や代襲相続との違い
先ほど確認した通り、再転相続とは、一度相続人となった人が相続に関する決定をしないまま亡くなってしまい、さらに相続が発生するケースを意味します。
具体的な例としては、①祖父が亡くなる(一次相続)②その息子である父が相続人となる③父が相続放棄等の決定をしないうちに死亡する④父の死亡に伴い相続が発生する(二次相続)⑤父の息子(孫)が相続人となる、といったものが考えられます。
再転相続では、上記の例の孫が、相続人としてどのように対応すれば良いのかを考えることになります。
また、再転相続と似たようなものに、同時死亡や代襲相続があります。
同時死亡の場合、上記の例でいう祖父と父が同時に死亡しているため、祖父と父との間には相続が発生しておらず、再転相続とはなりません。
代襲相続では、上記の例でいう祖父が亡くなった時には、既に相続人である父が死亡しており、孫が相続人となり、再転相続とはなりません。
●再転相続の注意点
再転相続の場合には、いくつかの注意点があります。ここでは、相続放棄、熟慮期間、遺産分割に関する注意点をご紹介します。
①再転相続と相続放棄
再転相続においては、すでに確認した通り、一次相続と二次相続があります。そのため、相続人となった際には、その2つについて遺産を引き継ぐか否かを判断する必要があります。遺産の中には、借金の返済義務やローンの返済義務といったマイナスの財産を引き継がなくてはなりません。
そのような財産を引き継ぎたくない場合には、相続放棄をする必要があります。相続放棄の可否については、4つのパターンに分類できます。
まず、(1)一次相続・二次相続ともに承認(2)一次相続放棄・二次相続承認(3)一次相続・二次相続ともに放棄、という3つについては、いずれも可能となっています。しかし、(4)一次相続承認・二次相続放棄というパターンについては、選択できません。
つまり、具体例で紹介したケースでいう、祖父の相続のみを承認し、父の相続を放棄することはできないということになります。
②再転相続と熟慮期間
自分が相続人となった場合、その相続を承認するのか、あるいは相続放棄をするのかについて決定する必要があります。
しかし、遺産の帰属先を決めなくてはならないため、その決定の時期をいつまでも引き延ばすことはできません。
そのため、熟慮期間という決定までの猶予期間が与えられています。熟慮期間は、自分が相続人であることを知った時から3か月以内です。
③再転相続と遺産分割
遺産分割とは、故人の遺産を相続人同士で分け合うことをいいます。相続人が複数人いた場合、遺産分割方法を決定するため、遺産分割協議という話し合いを行います。そして、話し合いでの決定事項は、遺産分割協議書を作成して、そこに記載します。遺産分割協議では、相続人全員の関与が必要であり、協議書には全員の署名押印が必要です。このように遺産分割協議は、非常に手間がかかる手続きとなっています。
再転相続の場合、遺産分割の流れは2つのパターンに分かれます。それぞれ①一次相続と二次相続の相続人が全員同じ場合と②一次相続と二次相続の相続人が異なる場合があります。①の場合には、遺産分割協議を1回で済ませることができ、協議書も1通作成すれば良いです。
しかし、②の場合には、関与する相続人が異なることになりますから、遺産分割協議を2回行う必要があり、それに伴って協議書も2通作成することになります。
■再転相続に関するご相談は当事務所まで
神保町法務司法書士事務所では、相続に関するご相談を幅広く承っております。
再転相続に関するご不明点等ございましたら、当事務所までお気軽にお問い合わせください。