商号変更登記とは|会社名変更時の流れを解説
単に名乗りを変えるだけで会社名(商号)が正式に変更されたことにはなりません。商号は登記事項のひとつであるため、変更するには法務局への登記申請が必要です。
商号変更のために法的に必要となる手続きを整理します。
商号変更登記とは
商号は「会社が取引上自己を表示するために用いる名称」のことです。
株式会社であれば「株式会社」という文字を社名の前後いずれかに含めることが義務づけられており、この商号が登記簿に記録されています。
そして商号変更登記とは、この登記記録上の商号を新しい社名に書き換える手続きを指します。会社の登記事項に変更が生じたときは、法律上の定めに従い、原則として変更が生じた日から2週間以内に管轄の法務局へ変更登記を申請しなければなりません。
期限内に申請を行わなかった場合、登記懈怠として会社の代表者等に100万円以下の過料が科されるおそれがあることも押さえておきましょう。
商号変更前の確認事項
商業登記法では、すでに登記されているほかの会社と「商号が同一であり、かつ本店の所在場所も同一」である場合には登記をすることができないと定めてあります。
このルールが適用されるのは限定的ではあるものの、念のためチェックしておくと良いでしょう。なお、同じ市区町村内というだけで「本店所在地が同一」ということにはなりません。
また、似ている商号があっても登記自体は可能ですが、他社が商標登録している名称を商号として使用することには不正競争防止法違反などの問題につながるおそれがあります。そのため商標調査も合わせて行うことが望ましいです。
商号の事前調査では、法務省運営のオンライン登記情報検索サービスや国税庁法人番号公表サイトが役に立ちます。
株式会社が商号変更する手続き
商号変更登記の流れを見ていきましょう。株式会社の行う商号変更では、①社内決議、②定款変更、③登記申請という3つの手続きが必要となります。
①株主総会での特別決議
商号は定款の絶対的記載事項であり、変更には定款の変更が欠かせません。
そして定款変更を行うには株主総会で「特別決議」の要件を満たさないといけません。
《 特別決議の要件 》
- 出席要件:議決権を行使できる株主が有する議決権の過半数が出席すること
- 賛成要件:出席した株主の議決権のうち2/3以上の賛成が得られること
つまり、会社代表者だとしてもその一存で会社名を変えられるわけではないのです。代表が株式の大半を保有しているようなケースでは可能ですが、原則として株主総会が必要ということに留意しましょう。
さらに、株主総会開催にあたっての招集通知についても厳格にルールが定められています。公開会社では株主総会の日の2週間前まで、非公開会社では原則として1週間前までに通知を出さなければなりません。
※非公開かつ取締役会非設置会社に限り、定款で1週間を下回る期間への短縮を定めることが可能。
②定款変更の効力発生
定款変更の効力は原則として決議日に生じますが、「○月○日より商号を変更する」と期日を指定して決議した場合はその日が効力発生日となります。
登記申請の期限2週間の起算点は、この効力発生日です。
③登記申請書類の提出
商号変更登記の申請に必要な主な書類は次のとおりです。
提出書類 | 詳細 |
|---|---|
変更登記申請書 | 登記の目的・原因・変更後の商号等を記載 |
株主総会議事録 | 商号変更の特別決議の記録 |
株主リスト | 株主の氏名・住所・議決権数等を記載 |
委任状 | 司法書士等の代理人が申請する場合に必要 |
印鑑届出書 | 代表の登記所届出印(会社実印)を変更する場合に提出 |
申請は、会社の本店所在地を管轄する法務局窓口へ持参することでも行えますし、郵送やオンラインでも可能です。
合同会社が商号変更する手続き
合同会社でも商号は定款の記載事項であるため、変更には定款変更が必要です。
ただ、株式会社のように株主総会を開催するのではなく、「総社員の同意」により定款を変更します。
※定款に「業務執行社員の全員の同意」など別段の定めがあれば、それに従った手続きが必要。
これに伴い、申請時の添付書類も株主総会議事録に代わり「総社員の同意書」が中心となります。登記申請の窓口や期限(2週間)については株式会社と変わりありません。
書類作成や申請手続きは司法書士にご依頼ください
商号変更登記を司法書士に依頼することには、以下のようなメリットがあります。
- 書類不備が起こりにくい
※登記申請書や添付書類に記載ミスや不備があると、法務局から補正対応を求められる。万が一誤った内容で登記が完了してしまった場合も、別途「更正登記」の手続きが必要となり追加の費用と手間が生じる。 - スケジュール管理やほかの変更登記との連動がスムーズ
※商号変更と同時に目的変更や本店移転、役員変更なども行う場合、申請書類が複数にわたり、手続き間の整合性にも留意しなくてはならない。また、期限内に完了させるのも難しくなってくる。 - 登記後の届出との連携
※変更した会社情報に応じて、登記完了後も各所行政機関への届出が必要になる。
商号変更は、社名のブランディングだけでなく、登記期限や各種届出を伴う法的な手続きでもあります。自社だけでの対応に不安があるときは、司法書士へご相談いただければと思います。
