所有権保存登記
■所有権保存登記とは
所有権保存登記とは、ある不動産につき初めて行う所有権の登記のことです。言い換えれば、「表題登記」が作成された不動産について、権利部が作成されておらず、権利に関する登記が一切ない場合に、所有者が誰であるのかを明確にする登記です。「表題登記」とは、表示に関する登記のうち、その不動産について初めてされる登記のことです(不動産登記法2条20号)。表題登記は、所有権保存登記の前提となるものであり、義務ですが、所有権保存登記は義務ではありません。
■表題部所有者の表示
所有権保存登記と似たような概念に、表題部所有者の表示というものがあります。表題部所有者とは、所有権保存登記のされていない不動産の表題部に、所有者として記載されている者のことです(不動産登記法2条10号)。表題部所有者の表示は、表題登記をする際に行われる表題部所有者の記載のことであり、所有権保存登記が行われると抹消されます。
■所有権保存登記の申請適格
所有権保存登記の申請適格者は、原則として表題部所有者またはその一般承継人です(不動産登記法74条1項1号)。この際、表題部所有者の一般承継人は表題部所有者名義に限らず、自己名義の所有権保存登記を行うこともできます。また、表題部所有者の申請の場合には、添付情報として必要な物は「住所証明情報」で足りますが、表題部所有者の一般承継人による申請の場合には、「一般承継証明情報」も添付情報として必要になります。
例外的に申請適格者となる者が次の3つです。
⓵所有権を有することが確定判決によって確認された者(不動産登記法74条1項2号)
⓶土地収用法その他の法律の規定による収用により所有権を承継取得した者(同項3号)
⓷区分建物において、表題部所有者から所有権を取得した者(同条2項)
■所有権保存登記の登記事項
所有権保存登記においては、登記原因と日付の登記は不要です(不動産登記法76条1項本文)。「登記原因」とは登記の原因となる事実又は法律行為のことです(同法5条2項)。
ただし、敷地権付区分建物の保存登記は、登記原因及び日付が登記事項とされています(同法76条1項ただし書)。
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