抵当権の設定・抹消
抵当権は、弁済期が到来しても債務が弁済されない場合に、担保とした不動産を競売にかけて、売却代価から他の債権者に優先して弁済を受ける権利です(民法369条1項)。
■抵当権の設定
抵当権は登記することができます(不動産登記法3条7号)。抵当権設定登記の登記権利者は抵当権者、登記義務者は抵当権設定者です。
■登記すべき事項
抵当権登記における登記すべき事項については、不動産登記法59条及び83条によって求められる事項に加えて、抵当権特有の事項の記載が必要になります(同法88条)。以下に、抵当権設定登記における主な登記すべき事項を紹介します。
- (1)一つ目は順位番号です。抵当権の実行による配当は、先順位の抵当権者から受ける点で、順位番号が関係してきます。
- (2)二つ目は原因です。原因には、抵当権設定契約の成立日や被担保債権の契約の成立日を登記することになります。
- (3)三つ目は債権額です。これは、優先弁済権の範囲を確定する目的で登記されます。この債権額は融資当初の額であるため、現在の残債務額と一致しない場合があります。
- (4)四つ目は利息・損害金です。
被担保債権についての利息や、弁済が遅れたことによる遅延損害金については、登記をしておくことによって、当然に後順位担保権者や一般債権者に優先して弁済を受けることができます(民法375条)。もっとも、利息及び損害金は、満期後に特別の登記をしない限りは、最後の2年分のみ配当を受けることになります。
■抵当権変更
抵当権はいったん登記された後に、登記事項に変更が行われる場合があり、これを抵当権変更と言います。変更が行われる事項としては⓵優先関係の変更(例:順位の変更)⓶当事者の表示の変更(例:債権者及び債務者の住所や氏名の変更)⓷当事者の変更⓸対象物件の変更⓹転抵当⓺抵当権の消滅などが挙げられます。
■抵当権の抹消
被担保債権が弁済、放棄、解除等された場合、抵当権は消滅することになります。この場合、抵当権設定登記の抹消登記を行うことになります。抹消登記とは、ある登記の記載事項をすべて抹消して効力を失わせるものであり、主登記で行われるため順位番号がつけられます。
神保町法務司法書士事務所では、東京都内を中心に、関東近郊における「抵当権の設定・抹消」、「登記すべき事項」、「抵当権変更」に関する問題など、金銭トラブル以外の司法書士業務全般についてご相談を承っております。事前にご予約いただければ休日時間外でのご相談も承っておりますので、お気軽にお問い合わせください。