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廃業時の登記を解説 ~株式会社が解散・清算するときの流れと必要な手続きについて~

ただ事業をやめるだけで会社はなくなりません。法人格を消滅させて正式に廃業をするには、会社法に定められた解散・清算手続きを経て、最終的に法務局で登記を行う必要があります。

 

設立登記を行うことで会社の法人格が得られたように、最後にも登記申請が求められるのです。その手続きの詳細をここで取り上げ、解散・清算までの流れや行うべき登記申請について解説していきます。

 

 

株式会社が解散するケース

株式会社が解散する事由は、会社法第471条によって次のように定められています。

 

  • 存続期間の満了・・・会社設立時に定款で存続期間を設定していた場合に、その期間が終了した時点で自動的に解散となる。
  • 解散事由の発生・・・あらかじめ定款に解散の条件を記載していた場合、その条件が満たされた時に解散となる。
  • 株主総会による解散・・・会社の経営者や株主の意思によって事業を終了する場合に該当。株主総会で特別決議(通常の決議より厳しい要件)が必要。実務上もっとも多いケース。
  • 合併による解散・・・ほかの会社と合併する場合であって自社が消滅会社となる場合に発生する。このケースでは後述する「清算手続き」を行うことなく、合併の効力発生日に法人格が消滅する。
  • 破産による解散・・・会社が支払不能となり、裁判所の決定によって破産手続きが開始。解散請求が認められると解散となる。
  • 休眠会社のみなし解散・・・12年間登記をしていない会社について、官報公告が行われた後、届出がない場合に自動的に解散したものとみなす制度。

 

このようにさまざまな状況で解散することが考えられます。

 

「廃業」と聞くと「倒産」をイメージされることが多いかもしれませんが、実際には株主総会の決議による自主的な廃業も多いです。また、昨今は後継者不足が深刻な問題であり、後継者を見つけられずに黒字のまま会社を解散するケースも少なくありません。

 

 

解散事由別の流れ

解散事由によって必要な手続きは異なります。

 

たとえば株主総会の決議による解散では、まず株主総会で「解散決議」と「清算人の選任」を行う必要があります。この解散決議には特別決議が必要で、同時にその後の会社の清算業務を行う清算人も選任しなくてはなりません。

※多くの場合、代表取締役が清算人に就任する。

 

定款で定めた存続期間の満了や解散事由の発生によって解散を行う場合は自動的に解散の効力が生じますが、やはり「清算人の選任」が欠かせません。

 

一方で、破産手続開始の決定による解散では破産管財人が選任され、清算も破産法に基づいて進行します。そのため通常の清算手続きとは大きく異なる流れとなるでしょう。

 

合併による解散に関しても、合併契約に基づいて手続きが行われ、清算手続きを経ずに法人格が消滅しますので通常の流れとは異なります。

 

ただし、いずれの場合にも共通するのが「解散の効力が生じてから2週間以内に解散の登記を行う」というルールです。何を理由に解散をする場合でも、解散をしたという事実を登記により公示しなくてはなりません。

 

 

清算手続きの流れ

解散した会社は清算会社となり、清算人によって清算業務が行われます。

 

清算の目的は、会社の財産を処分して債権者に対する債務を弁済し、残った財産を株主に分配することです。

 

そのために清算人はまず債権者に対し、一定期間内に債権を申し出るよう官報公告し、把握している債権者には個別の催告を行います。

※この「一定期間」は2ヶ月以上に設定する必要がある。

 

同時に清算会社の財産状況を調査し、財産目録や貸借対照表を作成。その後、現在進行中の業務を終了させ、債権の回収、債務の弁済を行い、残余財産があれば株主に分配します。

 

清算業務が終了すると清算人は決算報告書を作り、株主総会へ提出して承認を受けます。この承認を得ることでようやく清算が結了し、会社の法人格が消滅します。

 

 

解散と清算結了における登記手続き

会社の解散から清算結了までには、2回の登記手続きが必要となります。それぞれの登記の概要は以下の通りです。

 

解散登記

清算結了登記

会社が解散したこと、清算人が就任したことを公示し、清算手続きの開始を対外的に明らかにする登記のこと。

清算業務が完了し、会社の法人格が消滅することを公示する最終的な手続きとして行う登記のこと。

 

それぞれの手続きなど詳細を以下で紹介します。

 

 

解散登記について

解散登記は、解散の効力が生じてから2週間以内に法務局へ申請します。

 

登記申請書には、会社法人等番号や本店所在地などの基本的な情報のほか、登記の事由を記載する欄があります。解散登記ですので登記の事由は「解散」と記載し、そのほか清算人選任の年月日なども記載。「登記すべき事項」には、解散の年月日、清算人および代表清算人の氏名住所などを記載します。これらの情報はオンライン申請やQRコード付き書面申請でデータ送信することも可能です。

 

なお、添付書類は解散事由によって異なります。

 

株主総会の決議による解散の場合は株主総会議事録や株主リスト、清算人の就任承諾書を添付し、清算人が取締役から就任する場合は定款も添付します。

 

詳細は法務局HPで公開されている登記申請書の記載例を確認するか、司法書士に相談するなどして不備の内容に備えましょう。

 

 

清算結了登記について

清算結了登記は、決算報告書が承認を得らえてから2週間以内に申請します。この登記により会社の法人格が完全に消滅するため、廃業の一連の手続きの最終段階となる重要な手続きです。

 

登記申請書の記載事項は、会社法人等番号や本店所在地などのほか、登記の事由に「清算結了」と記載します。登記すべき事項として清算結了の年月日を記載しましょう。

 

添付書類には、決算報告書(債権の取立てや資産の処分による収入額、債務の弁済や清算費用による支出額、残余財産の額、株主への分配状況などを記載)を含む株主総会議事録と株主リストが必要です。

 

清算結了登記に関しても、法務局HPで公開されている登記申請書の記載例を参考にしたり、司法書士に依頼したりして対応を進めると良いでしょう。

 

こうして清算結了登記が完了すると、会社の法人格が完全に消滅し、一連の廃業手続きが完了します。

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代表司法書士

強みは、上場企業の経理部時代の経験である会計知識に、
会社法実務を組み合わせた中小企業及びベンチャー企業の法務サポート。

岩本司法書士の写真
代表司法書士
岩本 行基人
所属団体・資格等
  • 東京司法書士会
  • 民事信託推進センター 会員
  • 民事信託士
略歴

茨城県生まれ 神奈川県育ち 東京都在住

平成16年 明治大学法学部卒業後、地元の地方銀行、電機メーカーの経理部に勤務
平成21年 司法書士試験に合格
平成22年

都内の司法書士事務所数か所に勤務

※会社設立、企業法務、相続登記、不動産決済等それぞれに強みをもつ各事務所にて実務経験を積む。

平成28年03月 神保町法務司法書士事務所を開所。

事務所概要

身近な法律家『司法書士』があなたのお悩みにお答えします。

不動産登記、商業登記

司法書士は依頼を受けて様々な書類を作成したり、登記または供託に関する手続きを代理で行うことができます。

主に不動産登記や、商業登記が大きな仕事となります。

成年後見業務

近年司法書士の仕事として非常に注目されているのが、成年後見業務です。

判断能力の低下がみられる高齢者の方の財産を守るため、後見人をつけることが可能です。

事務所名 神保町法務司法書士事務所
代表者 岩本 行基人 (いわもと ゆきと)
所在地 東京都千代田区神田神保町1丁目32番地大湯ビル303号
電話番号/FAX番号 TEL:03-5577-2925 FAX:03-5577-2926
営業時間 平日 9:00~20:00
定休日 土日祝日
対応エリア 神保町、小川町、水道橋、お茶ノ水、神田、秋葉原
※一都三県対応可能
司法書士事務所相談サポート https://www.soudan-form.com/shihosyoshi-search/tokyo/903914/

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