会社の役員や役員報酬を変更するときに必要な手続きとは
会社の役員や役員報酬の変更には、法律にもとづいた手続きを踏まなければなりません。好きなタイミングで好きなように決定して変更を行うことはできません。
必要となる具体的な手続きを解説していきますので、会社運営に関わる方はぜひ参考にしてください。
役員を変更したいときに必要な手続き
会社の役員(取締役・監査役など)を変更するには、まず「株主総会で決議」を行い、その後法務局で「変更登記申請」も行う必要があります。
これらのルールは主に会社法によるもので、たとえば取締役の選任・解任であれば原則として株主総会の普通決議で決定すべきことが法定されています。監査役を解任する場合であれば特別決議が必要であるとも法定されています。
変更する役員の種類によって求められている手続きが異なりますので、それぞれ詳しく見ていきましょう。
取締役を変更するケース
取締役が新たに就任したり退任したりする場合はもちろん、任期満了後に引き続き同じ人が取締役となる「重任」の場合にも、株主総会の決議が必要です。
重任は任期終了時に、時間的間隔を置かずに同日にあらためて選任を受けて同じ役職に留まることを指し、「再任」は、時間的な間隔は関係なく、重任の場合も、一度退任して翌日以降に再び選任される場合も含む、単に同じ役職にもう一度就くことを指す用語です。
そして株主総会で役員変更の決議後、会社の本店所在地を管轄する法務局に対して、「2週間以内に変更登記を申請」しなければなりません。申請時には、株主総会議事録や就任承諾書、本人確認書類などを揃えておきましょう。期限を過ぎると過料(最大100万円)が科されるリスクがありますので、忘れず早めに対応することが大切です。
※重任であっても登記事項に変更があったとみなされるため、法務局への登記申請は欠かせない。
代表取締役を変更するケース
代表取締役の選定・変更手続きは、その会社に取締役会が設置されているかどうかによって変わってきます。
取締役会設置会社であれば「取締役会で決定」し、設置していない会社では「定款の定め」に従うか「取締役の互選」により決める、あるいは「株主総会決議」により代表取締役を決めることとなります。
なお、代表取締役を新たに選定する場合でもその人がまだ取締役でないのなら、まず株主総会で取締役として選任してから代表取締役に選ぶ手順が必要です。
監査役を変更するケース
監査役の選任については取締役と同様、株主総会の普通決議で決定できます。
しかし、解任には「特別決議」が必要とされています。
特別決議とは、議決権を行使できる株主の過半数が出席し、その出席株主が持つ議決権の2/3以上の賛成を要するものであり、普通決議よりも厳しい要件が課されています。監査役は取締役を監視する立場にあり独立性や地位の安定を守る必要があることから、容易に解任できないよう法定されているのです。
また、監査役の任期は原則として4年間であり、取締役(原則2年)より長く設定されている点も取締役との大きな違いです。ただ、株主総会決議から2週間以内に変更登記を申請すべき点は変わりありません。
役員報酬を変更したときに必要な手続き
役員報酬の決定や変更を行う際も、「定款上の規定」または「株主総会の決議」が求められます。
※実務では、株主総会の普通決議により役員報酬の総額や上限を定めておき、個別の配分は取締役会または代表取締役に一任するケースが一般的。定款に役員報酬の総額上限を定める方式を採用していれば、上限額を変更しない限り毎回株主総会を開催する手間を省くことができるため。
役員報酬を変更するときはタイミングにも注意しましょう。損金算入による節税の観点からは、事業年度開始後3ヶ月以内の変更が推奨されています。事業年度の途中で報酬を変更した場合は、損金算入できなくなるリスクがあります。
また、株主総会で報酬を決議した場合は必ず議事録を作成・保管しておきます。税務調査などで議事録の提示を求められることもありますので、記録は正確に、大切に残しておきましょう。
役員や報酬の変更後は登記申請を忘れずに
上述のとおり、役員の就任・退任・重任などがあった場合は「その事実が生じた日から2週間以内に法務局で変更登記を申請する法律上の義務」が生じます。
登記を忘れていたり期限を過ぎてしまったりすると、代表者個人に過料の制裁が課されることがあります。また、契約締結時において役員の確認ができず、取引先とトラブルになる危険性もあります。さらには、登記が放置され続けていると「みなし解散」扱いとなり法人が強制的に解散となるケースもあるのです。
そこで株主総会など変更手続きそのものにだけ着目するのではなく、登記やその後の手続きについてもセットで、必須の過程であると覚えておきましょう。
一方、役員報酬に関しては登記事項ではないため法務局への登記申請は不要です。ただし、報酬額を株主総会で決議した場合の議事録は、会社内で保管しておく必要があります。
これら重要な手続きについては法律に準拠する必要がありますので、専門家にも相談しながら対応していくことをおすすめします。司法書士であれば、法務のご相談から変更登記の申請手続きまで一貫したサポートを行うことが可能です。
