取締役が辞任したときの登記手続き|期限・必要書類・注意点を解説
取締役が辞任すると会社は法務局へ変更登記をする義務を負い、対応が遅れると期限や書類の不備で思わぬ手間が生じることがあります。今回は辞任登記の基本的な流れと、実務上気をつけたい点を紹介していきます。
辞任の効力発生時期と登記までの期限
取締役の辞任は、辞任の意思表示が会社に到達した時点、あるいは辞任届に記載された辞任日に効力が生じます。
法律上、辞任自体は取締役個人の意思表示によって成立することから、株主総会の決議や登記を経ることなく効力が生じます。
しかし取締役の情報は「登記すべき事由」ですので、その内容に変更が発生したのならその時点から2週間以内に、法務局で変更登記をしなければなりません。
この期限を過ぎると、会社の代表に100万円以下の過料が科される可能性があります。気づいたときには2週間が過ぎていた、という事態も起こりかねないため、辞任届を受け取ったらできるだけ早く準備を始めましょう。
※変更登記手続きの補足 |
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・本店所在地を管轄する法務局にて手続きを行う ・登記申請は、法務局の窓口だけでなく郵送やオンラインでも行える ・登録免許税は、資本金が1億円以下の株式会社なら原則1万円、1億円を超える会社なら原則3万円 ・辞任と就任を同時に登記する場合も、同じ登記申請であれば登録免許税は原則として変わらない |
退任理由ごとに必要書類が異なる
役員変更登記に必要な書類は、辞任・任期満了・解任・死亡といった退任の理由によって異なります。基本となる書類やその組み合わせを確認しておきましょう。
退任の理由 | 主な添付書類 |
|---|---|
辞任 | 「辞任届」が基本 ※株主総会議事録に辞任の記載があれば辞任届に代えられる場合もあり ※後任を選任するなら選任決議の議事録や就任承諾書なども必要 |
任期満了 | 「株主総会議事録」と「株主リスト」 ※重任の場合も役員変更登記は必要 ※後任を選任するなら就任承諾書などを添付 |
解任 | 「株主総会議事録」と「株主リスト」 ※後任を選任するなら選任決議の議事録や就任承諾書なども必要 |
死亡 | 「死亡の事実を証する書面」 ・戸籍(除籍)謄抄本、死亡診断書、住民票除票、遺族から提出された死亡届などを用いる ・後任を選任するなら就任関係の書類も別途必要 |
単純な辞任であれば添付書類は辞任届のみで済むことが多く、一見すると難しくない手続きに見えます。しかし辞任するのが誰か、後任をどうするかによって、実際の対応内容は変わってきます。
代表取締役が辞任するときの押印について
辞任するのが代表権のない取締役であれば、辞任届への押印は認印でも形式上は問題なく、印鑑登録証明書の添付も不要とされています。
一方で辞任するのが代表取締役の場合は、押印の方式に一定のルールが適用されます。
法務局に印鑑を届け出ている代表取締役が辞任するときは、辞任届にその届出印を押すか、または個人の実印を押したうえで市区町村が発行した印鑑登録証明書を添付する必要があります。
法務局に印鑑を届け出ている代表等が辞任する場合には、辞任届の押印方法と印鑑登録証明書の要否について、通常の取締役辞任より厳格な確認が必要です。
役員の数が減るときに注意したい責任問題
もう一つ注意したいのが、「辞任によって取締役の人数が会社法や定款で定めた最低人数を下回ってしまう場面」です。
この場合でも、辞任そのものは本人の意思表示によって有効に成立します。辞任すること自体ができなくなるわけではありません。
ただし、後任の取締役が就任するまでの間は「辞任した取締役が引き続き取締役としての権利と義務を持つ地位にとどまる」という仕組みが会社法に置かれています。
そのため人数不足が生じる辞任では、後任の選任や就任承諾の手続きをあわせて進めておく必要があるでしょう。辞任による退任登記は、後任取締役の就任登記と同時、または後任の就任後に申請します。
役員変更の登記は司法書士にご相談ください
ここまで見てきたように、取締役の辞任登記は状況によって必要書類や押印方法が変わり、単純な辞任でも代表取締役が絡むと押印ルールが一段複雑になります。人数不足が生じる場合は後任選任の手続きも並行して進める必要があるため、準備すべき書類の見極めそのものが難しくなる場面もあるでしょう。
こうした事情から、申請手続き一連を司法書士に依頼して進めるケースが少なくありません。会社の体制や辞任する取締役の立場によって必要な対応が変わりますが、書類を整える段階から専門家に確認しておくと、2週間の期限内で手続きを終えやすくなります。
